恋愛感情はどのようにして生まれるのか?
フランスの作家スタンダールは、恋愛を「情熱恋愛」「趣味恋愛」「肉体的恋愛」「虚栄恋愛」の四つに分類しました。
そして「情熱恋愛」こそ真実の恋愛であると考え、「情熱恋愛」の発生と進展に大いに寄与する心理状態のことを「結晶作用」と名づけました。
スタンダールは、著書『恋愛論』のなかで、恋の発生のプロセスを次の七段階に分けています。
1.感嘆する
ある異性を見て、なぜかハッとする。
2.想像する
その人のことが気になってしかたがなく、「あの人とつきあうことができたらどんなにいいだろう」などと考える。
3.希望を持つ
「もしかしたらあの人も私のことを好きなのではないかしら」との期待を持ち、彼のちょっとした一言や仕草に希望を強めたり、不安になったりする。
4.恋が生まれる。
自分が愛し、かつ愛してくれる人に、できるだけ近づき、一緒にいたいという気持ちが高まる。
見つめたりふれたりというあらゆる感覚をもって相手の存在を確かめることに喜びを覚える。
5.第一の結晶作用がはじまる
自分が愛している人がこちらをも愛していると確信したとき、その相手のなかにあらゆる魅力を見つけて理想化し、「この人に比べて私はなんてつまらない人間なんだろう」と自分を卑下したりする。
6.疑惑が生まれる。
気持ちがやや冷静になり、当たり前になっている今の幸福を疑いはじめる。
「私は本当に愛されているのだろうか」と思うようになり、もっと確かな証拠を求める。
7.第二の結晶作用がはじまる
疑惑による辛い心理状態のすぐ後で、「そうだ、彼はやっぱり私を愛している」と思い直し、安堵し、相手の新しい美点を探そうとする。
するとまた、疑惑の念がわいてくる。
「しかし、本当に彼は私を愛しているだろうか」
このような相反する心理状態を交互にくり返すなかで、「彼以外に私を幸せにしてくれる人はいない」との思いを強めていく。
そして、つぎの三つの考えの間をさまようことになる。
a.彼はあらゆる魅力を持ち合わせている。
b.彼は私を愛している。
c.どうすれば彼からもっとも大きな愛の証拠を得ることができるか。